帽子
『あけましておめでとう 元気ですか?
僕は生きています』
年賀状 あなたの小さな文字
指でなぞる
それぞれの春を待ち それぞれに過ごした

本当に なくしたくないものなら
いつも 目を離さずに
誰よりも そばで からまるようにして
つきまとい 見つめあい
暮らしてみたかった

妹のようだと チヤホヤされ
癖も真似てみたり
口元が似てると 言われたから
いつもすました
口紅をつけたけれど ダメだって叱られ

太陽が 強くまぶしすぎるから
外を 歩けなくて
捨てられず しまっておいた帽子も
ブカブカで似合わない
あの日と同じように

水色の帽子が 風で飛んだ
坂道 追いかけた
『おかしいよ なんだか 子供じみて』
あなた笑っていたね 何度も
ああ逢いたい
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